ベンチャー企業の資金調達方法8選|フェーズごとの使い道まで徹底解説
最終更新日:2022年6月1日 | 投稿日:2022年6月1日
「起業した後の資金調達方法を知りたい」
「各資金調達方法のメリット・デメリットを知りたい」
本記事はこのような方に向けて、ベンチャー企業の資金調達方法について詳しくまとめました。
以下のような内容について具体的に解説しているので、ぜひ資金調達時の参考にしてください。
- 資金調達のタイミングと使い道
- 具体的な資金調達方法
- 資金調達方法のメリット・デメリット
- 資金調達時の注意点
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目次
ベンチャー企業における資金調達のタイミングと使い道
ベンチャー企業における資金調達のタイミングは、企業の成長段階や、企業フェーズごとにやってきます。
以下は、一般的なベンチャー企業のフェーズです。
- シード期
- アーリー期
- グロース期
- レイター期
以下から、それぞれのフェーズの解説と、どのような資金が必要になるのかを確認していきましょう。
なお各資金調達方法の詳細については、「2.ベンチャー企業の資金調達方法は大きく4つに分類できる」以降にて詳しく解説しています。
資金調達方法について確認したい場合は、先に2章以降をチェックしてみてください。
フェーズ1.シード期
シード期とは、事業がまだ「種」である時を指します。
アイディアをビジネスにする目処が立った段階で、正式な製品はできておらず、試作品(プロトタイプ)のみ存在するケースもあります。
まだ小規模ながら、運転資金・設備投資など、数百万円ほどの資金が必要になることが予想される時期です。
おすすめの資金調達方法は以下のとおりです。
- 出資(ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家)
- 融資(日本政策金融など政府系金融機関からの融資)
- 個人ローン
まだビジネスが確立されているとは言い難い段階で、銀行からの融資取り付けが難しいため、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資を募ります。
このほか、ベンチャー企業やスタートアップ向けの融資制度である「新創業融資制度」など、政府系金融機関が提供している融資制度の活用も検討されます。
フェーズ2.アーリー期
アーリー期は、最低限の従業員数でビジネスを育てている段階です。ビジネスアイディアを形にして、少しずつ顧客を増やしていき、製品やサービスの改善を進めていきます。
必要となる資金は数千万円ほど。運転資金や設備投資のほか、人件費やマーケティング費用も必要になってきます。
おすすめの資金調達方法は以下のとおりです。
- 出資(ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家)
- 融資(制度融資)
- 補助金・助成金
ビジネスモデルが明確になってきているため、出資に加えて、制度融資や補助金・助成金の活用も視野に入れることができます。
フェーズ3.グロース期
「成長」を意味するグロース期では、さらなる製品・サービスの改善をおこない、顧客を増加させていくことが求められます。
また収益化の方法を確立し、事業を拡大させていく時期であり、売上が飛躍的に増加する企業も多いです。
研究開発費用のほか、広告宣伝費、人件費、社員を増やしたことによるオフィスの拡充など、さまざまな面で資金が必要になります。
資金調達の目安は数千万円~数億円ほど。以下のような調達方法がおすすめです。
- 融資(制度融資)
- 出資(クラウドファンディング)
- 補助金・助成金
グロース期では、引き続き融資を受けるほか、クラウドファンディングの利用検討もおすすめです。
クラウドファンディングは、新しい顧客との接点を作る「テストマーケティング」や「PR」の場としての活用も可能です。
そのため、資金を調達するほかに、製品やサービスのファンを増やす場としても活用できます。
フェーズ4.レイター期
レイター期では、グロース期で成長させた企業をさらに大きくしていく段階です。ベンチャー企業としては、安定期に入ったといって良いでしょう。
必要な資金は、ビジネスの規模や目指す成長度合いによって大きく異なってきます。
海外進出を視野に入れるなど、大規模な事業拡大を目指す場合には、数十億円の資金が必要になるケースもあるでしょう。
またレイター期では、これまでに紹介した方法に加えて、銀行からの融資など、一般的な企業と同様の資金調達方法が選択できます。
- 融資(銀行などを含む)
- 出資
- 補助金・助成金
事業に対しての信用や実績の積み重ねもできているため、大きな金額の融資申し込みが可能になる時期でもあります。
ベンチャー企業の資金調達方法は大きく4つに分類できる
ここまで紹介したとおり、ベンチャー企業の資金調達方法は、大きく以下の4つに分類できます。
- 融資
- 出資
- 個人借り入れ
- 補助金・助成金
そしてこの4つのなかにも、以下のように複数の種類があります。
融資 | 銀行や信用金庫からの融資 |
---|---|
制度融資 | |
日本政策金融公庫など政府系金融機関からの融資 | |
出資 | ベンチャーキャピタル |
エンジェル投資家 | |
クラウドファンディング | |
個人の借り入れ | 銀行の個人ローン |
補助金・助成金 | 国や地方自治体の補助金・助成金 |
以下より、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.融資による資金調達方法
融資とは、資金を外部金融機関から借り入れる方法です。融資には主に以下の3種類があります。
- 銀行や信用金庫からの融資
- 制度融資
- 日本政策金融公庫など政府系金融機関からの融資
ひとつずつ確認していきましょう。
1.銀行や信用金庫からの融資
銀行や信用金庫から資金を借り入れる方法です。
一般的な方法ではありますが、審査が厳しい傾向にあるため、創業して間もない場合は借り入れが難しいケースが多いです。
メリット:純粋に資金を借り入れる方法のため、株式などを提供しなくて良い
デメリット:毎月返済をおこなう必要がある・信用や実績が薄い場合、借りられる金額に制限がある
2.制度融資
制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証組合が連携して融資をおこなう制度です。
審査のハードルが低く金利も低いものの、借り入れまでに時間がかかる傾向にあります。
融資相談から実行まで、3ヵ月前後は見積もっておくと安心です。
メリット:審査のハードルが低い・低金利で長期間借り入れができる
デメリット:種類が多く仕組みが複雑・借り入れまでに時間がかかる
3.日本政策金融公庫など政府系金融機関からの融資
政府が出資している金融機関から融資を受ける方法です。
例えば「日本政策金融公庫」は、政府が100%出資した金融機関です。
「新創業融資制度」など、ベンチャー企業やスタートアップに適した制度の用意もあるため、比較的申し込みやすいといえます。
申し込みから融資を受けるまで最低でも1ヵ月はかかる可能性が高いため、早めの申し込みがおすすめです。
メリット:審査のハードルが低い・低金利で借り入れができる・無担保、無保証人の融資もある
デメリット:借り入れまでに時間がかかる
2.出資による資金調達方法
出資とは、投資家などから資金を受け取る方法です。基本的に返済義務はありませんが、代わりに株式を渡すなど、経営方針を左右されることもあります。
出資には、主に以下の3種類があります。
- ベンチャーキャピタル(VC)
- エンジェル投資家
- クラウドファンディング
ひとつずつ確認していきましょう。
1.ベンチャーキャピタル(VC)
ベンチャーキャピタル(VC)とは、成長が見込まれる未上場企業に対して出資する投資会社のことです。
投資先の企業が上場するなど、成長した後に株式や事業を売却して、利益を得ています。
返済の必要性がない点は大きなメリットですが、投資資金の確実な回収のため、VCによる成長支援がおこなわれる点には注意が必要です。
経営方針に干渉される可能性について、十分に検討してからの申し込みがおすすめです。
メリット:返済不要の借り入れができる・経営ノウハウなどの提供や事業提携先の紹介を受けられる可能性がある
デメリット:経営方針に干渉されることがある・持ち株を失うことがある
2.エンジェル投資家
エンジェル投資家とは、起業して間もない企業に出資する投資家のことです。
ベンチャーキャピタルの個人版と考えると、わかりやすいでしょう。
ベンチャーキャピタルと同様のメリット・デメリットが存在するほか、「自社に投資してくれる投資家の発見までに時間がかかる」というデメリットもあります。
エンジェル投資家を見つけるには、マッチングサービスの利用やセミナーへの参加などの積極的な行動が求められます。
メリット:返済不要の借り入れができる・経営ノウハウなどの提供や事業提携先の紹介を受けられる可能性がある
デメリット:経営方針に干渉されることがある・持ち株を失うことがある
3.クラウドファンディング
クラウドファンディングは、多くの人から少額ずつ出資を募る方法です。別名「ソーシャルファンディング」とも呼ばれます。
現在はオンライン上でクラウドファンディングがおこなえるサービスも多数あり、個人単位でも実施できます。
しかし出資を募るためのハードルが低いとのメリットがある一方で、必ずしも目標金額が集まるとは限りません。
そのためクラウドファンディングのみを当てにするのではなく、他の方法も同時に検討すると良いでしょう。
メリット:出資を募るためのハードルがゼロに等しい
デメリット:目標金額が集まらない可能性がある・リターンを用意する場合は工数とコストがかかる
3.個人での借り入れによる資金調達方法
個人で借り入れをおこなうことにより、資金を調達する方法です。銀行の個人ローンの利用が一般的です。
銀行の個人ローン
複数種類の個人ローンのなかでも、ベンチャー企業の資金調達には「ビジネスローン(事業者専用ローン)」がおすすめです。
ビジネスローンは法人・個人事業主だけが申し込めるローンで、事業に使用する資金の借り入れが可能です。
原則無担保で借りられるほか、審査にかかる時間も短く、申し込みから3〜5営業日で融資を受けられるケースが多いです。
また金利は1.0%〜15.0%程度で、ほかの方法よりも低金利で利用できる点も便利なポイントのひとつです。
メリット:資金が手に入るスピードが速い・原則無担保、場合によっては無保証人で借り入れができる
デメリット:金利が高いことが多い・借入可能額が低いことが多い
4.補助金や助成金の活用による資金調達方法
ベンチャー企業やスタートアップをサポートする補助金や、助成金を活用する方法もあります。
補助金や助成金は、基本的には国や地方自治体が提供している制度です。
国や地方自治体の補助金・助成金
国や地方自治体に申請して、補助金や助成金を受け取る方法です。
補助金や助成金にはさまざまな種類があり、
- 開業資金や事業を継続するための資金を提供するもの
- 採用支援のための助成金
など、目的によって分かれています。
そのため、利用検討時には「何のための資金が必要なのか」を明確にすることが重要です。
利用できる補助金や助成金については、都道府県のベンチャー支援窓口や、商工会議所で案内を受けることもできます。
資金調達の目的を明確にしてから、自社に合った補助金や助成金がないか、相談してみてください。
メリット:返済不要で資金を調達できる
デメリット:申し込み可能な期間が決まっていることがある・支給までに時間がかかる
ベンチャー企業が資金調達する際の2つの注意点
ここからは、ベンチャー企業が資金調達をおこなう際に注意したい2つのポイントについて解説します。
- 出資は経営への干渉リスクがある
- 資金調達までの時間を確認しておく
それぞれ詳細を確認しておきましょう。
注意点1.出資は経営への干渉リスクがある
返済の必要がない出資は、ビジネスをはじめて間もない頃に特に利用したい、安定した資金調達方法です。
しかし、出資を受けることによって経営へ干渉される可能性がある点には、注意が必要です。
もちろん「出資者から経営のノウハウや知識に関するアドバイスを受けられる」と考えれば、メリットも大きいでしょう。
しかし投資家はキャピタルゲインの獲得を目的としているため、社長の思う経営方針と異なった、利益重視の経営をすすめられるリスクもあります。
もし出資者と意見が食い違えば、出資取りやめの可能性もあるでしょう。
そのため出資を受ける場合は、経営干渉へのリスクを把握した上で、「本当にベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの資金調達が必要かどうか」を慎重に見極めることが重要です。
注意点2.資金調達までの時間を確認しておく
各方法のデメリットでも触れたとおり、資金調達方法によっては、手元にお金が届くまでに時間がかかります。
特に補助金や助成金などは、審査に時間がかかるため、申し込んでから数ヵ月程度の時間が必要になるものが多いです。
よって、お金が必要になってから急いで申し込んでも、すぐに融資を受けることはできません。
申し込みから融資までの時間は、利用する補助金や混雑状況などによっても異なります。
融資を急ぐ場合は、どの程度時間がかかるのか、事前に確認したうえでの申し込みがおすすめです。
まとめ:資金調達方法を知って企業を成長させよう
本記事のまとめ
- おすすめの資金調達方法はフェーズによって異なる
- ベンチャー企業の資金調達方法は主に「融資・出資・個人借り入れ・補助金や助成金」の4つ
- 出資を受けるリスクと、資金調達までにかかる時間を理解しておくことが大切
資金調達方法にはさまざまな種類があるものの、事業をはじめたばかりの頃は、利用できる借入額や方法も限られてきます。
そのため資金調達検討時には、自社のフェーズや「何のために資金が必要なのか」を把握したうえで、効率的な資金調達をおこないましょう。
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投稿者
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「志を支援する」パーパスの元、デジタルマーケティング支援会社を経営。(2024年6期目/メンバー数約15名/最高年商2億)パーパスに共感したクライアントの成果創出を「誠実なエース人材のみ」でチームを構成し、エンドユーザー目線を徹底する方針で支援してます。
経歴:オプトで運用型広告コンサルタント→サイバーエージェントグループのウエディングパークにて、運用型広告の営業→WALTEXを創業。Speee様、KUMON様、DIGITALIO様など、大手から中小企業(ベンチャー/スタートアップ)まで支援実績インタビューをHPで公開中。